2023-12-05 スタッフBlog
ドライマウス(口腔乾燥症)の原因と体に与える影響とは?
「口の中がネバつく」、「食べ物が飲み込みづらい」など症状が長く続く場合ドライマウスかもしれません。現在ドライマウスは日本人のおよそ800万人がかかっている病気であり、予備軍は3000万人いると言われている国民病です。
今回はドライマウスの原因や影響についてお話します。
目次
ドライマウスとは?
口腔乾燥症とも呼ばれ、唾液の分泌量が低下し口の中が乾燥する病気です。ストレスや薬の副作用など、さまざまな原因により起こってしまいます。
50歳以上の女性に多く、発症します。
唾液の分泌量
唾液の種類には2種類あり、咬む刺激がなくても自然に流れ出る「安静時睡眠」と、味覚や咬む咀嚼などの刺激により多量に分泌される「刺激時唾液」があり、1日の分泌する合計の量は500〜1500mlと言われています。
唾液分泌量の測定には、リラックスした状態で測定する安静時唾液分泌量とガムを噛んで唾液分泌を促して測定する刺激時唾液分泌量と、ガーゼを噛んで唾液の分泌量を測るサクソンテストを測定し、分泌量が基準値以下の場合はドライマウス(口腔乾燥症)と診断されます。
唾液の分泌が減少する原因
・体内の水分量
加齢によって、唾液を作る唾液腺の機能が低下し、ドライマウスになりやすくなります。
・薬剤の副作用
ドライマウスの原因に最も多いのが薬剤の副作用です。一般的な処方薬の80.5%が唾液減少の原因なるとされていますが、高血圧の薬、向精神薬がその筆頭となります。
・全身疾患(シェーグレン症候群や、糖尿病など)
さまざまな全身疾患によってドライマウスが引き起こされます。シェーグレン症候群とは、自己免疫疾患で主な症状がドライアイやドライマウスといった乾燥症状が見られます。関節リウマチの患者さんで20%がシューグレン症候群の合併がみられると言われています。
糖尿病になると多量の血糖が血液中や尿に移行して、尿量が多くなり、体内の水分が減っていきます。 口の中は脱水症状となり、ドライマウスが引きおこされます。
・放射線療法
口腔周辺の放射線治療法を受けると、唾液腺の細胞が損傷を受けて、唾液の量が減ってしまい、口の中が乾燥しやすくドライマウスの状態になってしまいます。治療終了後から回復するまでには半年以上もかかり、完全に元に戻らない場合もあります。
唾液が減少するとどんな影響があるのか?
・虫歯や歯周病のリスクが上がる
唾液には溶けだした歯のミネラルを元に戻す作用や、細菌の繁殖を抑える作用があります。減少することによって虫歯や歯周病のリスクがぐんと上がります。
・食べにくい、飲み込みにくい
食べ物を噛むことによって、唾液と食べ物が混ざり一つの塊になり、飲み込みやすい形を作っています。唾液の分泌が減少してしまうと、粘膜に張り付いて飲み込みにくいなどの現象が起こってしまいます。
・食べ物の味が分かりにくい
唾液は味を運ぶ役割もしています。唾液が減ることでその働きが上手くできず、味覚を正しく感じられなくなる味覚障害を起こすことがあります。
・口臭が強くなる
細菌が繁殖することによって、口臭が強くなってしまいます。
・カビが生える(口腔カンジダ症)
ドライマウスの合併症として、口腔カンジダ症があります。唾液が減少すると自浄作用が低下し口腔内は酸性へと傾きます。カンジダは酸性状態で発育を繰り返すので、真菌のカンジダは住みやすい環境になり発症しやすくなります。
ドライマウスの方にオススメな虫歯予防法
ドライマウスの患者さんにおいては唾液分泌が低下しているため、作用が上手く働きません。どのようにして虫歯を守っていくのが良いのでしょうか?
自浄作用(食べかすなどを洗い流す作用)と緩衝作用(お口の中を酸性から中性に戻す作用)が低下しているので、ドライマウスの方は”食後すぐに歯磨きする”ことが虫歯予防に有効的です!高齢者を対象にした研究では、歯磨きすることで刺激時唾液の分泌が促されることが分かっています。
またキシリトールのガムを噛むことでも刺激時唾液が分泌され、虫歯予防に効果的です。
唾液が少ないドライマウスの方は虫歯に対する防御を弱く、リスクが極端に高い状態です。食後すぐに歯磨きをする、フッ素を取り入れる、キシリトールガムを噛むなど予防をしていきましょう!当院では唾液量の検査も行っています。気になることがあればお気軽にご相談ください。