2025-03-03 スタッフBlog
歯ぎしり・食いしばりが引き起こす歯のダメージと原因とは
歯ぎしり・食いしばりは、悩んでいる方もいれば、生活をする上でのちょっとした癖だと思われている方もいるかもしれません。
しかし、放置すると体に悪影響を及ぼします。
歯ぎしり・食いしばりをそのままにしておくと何が起こるのか、また、原因と対策についてお伝えします。
目次
そもそも歯ぎしり・食いしばりとは?
一般的に、通常上下の歯は完全に噛み合うことなく2〜3ミリの隙間が空いており、完全に嚙み合っている状態になるのは意外にも1日あたり15分~20分程度と言われています。
しかし、それがなんらかの原因で上下の歯が合わさっている時間が長いと、歯ぎしり・食いしばりが起こっていると言えます。
歯をぎりぎりとこすり合わせることを「グラインディング」といい、いわゆる歯ぎしりのことを指します。
就寝時に起こりやすく、目が覚めた時に顎が疲れた感じがする方は、歯ぎしりをしている可能性が高いでしょう。
無意識に行うため自身では気づきにくいのですが、音が出やすいため、家族など他人からの指摘をきっかけに気づく方もいます。
また、上下の歯を強く噛みしめてしまうことを「クレンチング」といい、いわゆる食いしばりのことを指します。
こちらは日夜関係なく起こる場合が多く、歯ぎしりのように音がしないため、本人・周囲共に気づきづらいケースが多いです。

歯ぎしり・食いしばりが体に与える影響はある?
歯ぎしり・食いしばりは、体にさまざまな影響を与えます。
最も影響を受けるのは、やはり直接刺激を受ける「歯」といえるでしょう。
歯ぎしり・食いしばりがあると、歯にどんな影響を与えるのでしょうか。
1.歯が欠ける、割れる
人間の噛む力は意外にも強く、通常時でもおおよそ自分の体重程度の力が加わります。
さらに、歯ぎしりや食いしばりにおいては加わる力がより大きくなり、体重の2~5倍、場合によっては1トン以上力が加わると言われています。
歯の表面組織であるエナメル質は、人体の中で最も硬い組織と言われていますが、それだけの力が日常的に加わり続けたら、割れてしまうということも想像がつくのではないでしょうか。
また一口に「歯が割れる」といっても、普段見えている部分の歯が割れることもあれば、普段は歯茎の中にあって見えない歯根が割れるケースもあります。
歯根が残っていれば被せ物や詰め物などの対応が取れることがほとんどですが、歯根が割れてしまうと抜歯をせざるを得ないことが多くあります。
また、虫歯になっていたり、神経を抜いたりしている場合、歯が通常よりももろくなっているため、さらに注意が必要です。
2.歯周病の悪化につながる
歯ぎしりや食いしばりによって大きな力が加わると、歯茎や歯を支える組織が炎症を起こし、歯周病を悪化させてしまう恐れもあります。
3.詰め物が取れやすくなる
歯が割れてしまうくらいの力が加わるため、詰め物をしている方は、取れるリスクが高まります。
4.知覚過敏
歯が欠けたり割れたりすることで、知覚過敏の症状が現れるケースも少なくありません。

歯ぎしり・食いしばりの原因は?
歯ぎしり・食いしばりの原因はいくつかあり、これらの複数が合わさるケースも少なくありません。
1.ストレス
歯ぎしり・食いしばりの最たる原因は、ストレスと言われています。
なぜかというと、歯が噛み合う刺激は、脳へ伝わることでストレスを一時的に緩和させる作用が働きます。ガムを噛むとリラックスできるというのも同じ理屈といえるでしょう。
そのためストレスを感じると、無意識のうちに脳への刺激を求めることで、歯ぎしりや食いしばりをしてしまうと言われています。
2.歯並びが悪い(不正咬合)
歯並びや噛み合わせが悪い状態のことを不正咬合と言いますが、奥歯の噛み合わせが不安定な場合、無意識に強く噛みしめたり、横方向に滑らせたりする癖がつきやすくなります。
また、歯ぎしりによって不正咬合が悪化することもあるため、負のスパイラルに陥ってしまうこともあります。
3.長時間の集中
人は物事に集中していると、無意識のうちに能力を最大限に引き出そうとする力が働き、上下の歯をかみ込む傾向にあります。
そのため、スポーツや勉強、仕事などを長時間行うと、ストレスとは別に、食いしばりが起こりやすい原因となります。
4.睡眠の質の低下
飲酒や喫煙、カフェインの摂取、環境の変化、日々の疲れなどが原因で眠りが浅くなることで、歯ぎしりが発生しやすくなります。
5.歯の生え変わり
歯ぎしりや食いしばりは、子どもにも起こります。
乳歯の生え始めや、永久歯への生え変わりのタイミングで、歯の噛み合わせへの変化に慣れないことで、フィットする位置を無意識のうちに探すことで起こります。
6.歯の治療後、歯列矯正中
5.と同じ理論で、歯の治療後(特に詰め物を新たにしたり、変えたりした際)や、歯列矯正中に嚙み合わせが変化することで、新しい噛み合わせに慣れるまで歯ぎしりなどが起こる場合があります。
歯ぎしり・食いしばりの対策はできる?
1.マッサージ
歯ぎしりや食いしばりが起こると、咬筋と側頭筋がこわばり、普段からトレーニングをしている筋肉の力が強くなるように噛む力がどんどん強くなってしまいます。そのためこの2か所をマッサージしてほぐしてあげることで、改善や予防に繋がります。
奥歯でぎゅっと噛むと、奥歯の噛み合わせ部分からいわゆる「エラ」と言われる部分(咬筋)と、こめかみから後ろの側頭部(側頭筋)が動くのが分かると思います。
ここを優しく円を描くようにマッサージすることで、筋肉がゆるみます。

2.マウスピース
歯ぎしり・食いしばりは、特に寝ている時に強い力を出しやすくなります。
そのため就寝時にマウスピースを装着することで、歯ぎしり・食いしばりが起こりづらくなります。
マウスピースは歯科医院で作製してもらえるため、お悩みの方は一度かかりつけの歯科医に相談してみるのも良いでしょう。
3.歯列矯正
不正咬合が原因で歯ぎしり・食いしばりが起こっている方には、歯列矯正をすることでかなり改善するケースもあります。
自身の状態が適応なのか、かかりつけの歯科医や、矯正歯科などに相談すると良いでしょう。
歯ぎしり・食いしばりは日常のちょっとしたケアや心がけで改善することもありますが、裏を返せば習慣化しやすいものでもあるため、気になる方は早めに歯科医などの専門医に相談をすることもご検討ください。

いのうえ歯科クリニックでは、適切な検査や治療はもちろんのこと、教育を受けた専任の衛生士がメンテナンスを行っています。
歯に対するトータルケアを通じて、平均寿命に比べて約20年短いと言われる、歯の寿命を伸ばす取り組みを行っています。あなたの大切な歯を、一緒に守っていきましょう。
